長男が6年生の2月に不登校になり、中1の5月からコンプリメントトレーニングを受け始めたのですが、子供は私の様子が変わったのをいぶかしく感じていた様子で、私の外出中に部屋を探して私の読んでいる本や、しまっているノートなどを見ているようでした。
トレーニング開始までは、多くの専門家の方々に言われた通り、気力が湧いてくるまでは、と思い、やりたいことをやらせていました。長男は、次男が登校したらすぐにゲームを始めるのが日課になり、(もともと90分制限でした)カラオケに行きたいとか、スカイツリーに昇りたいとか、色々希望するようになってきました。放課後になると、小学生の時からよく遊びに行っていた児童館に行き、ドッヂボールを楽しみました。次男が産まれてから我慢することがたくさんあったのだろうと考え、本人が希望したらその通りしていたのですが、トレーニング開始後はカリキュラムに沿って、昼間は学校タイム、外出は禁止としました。母親が急に「楽しい不登校をやめる宣言」をしたことには不満を感じていることが伝わってきました。
ゲームの時間を徐々に減らし、家族全員でテレビも見ないようにしました。
「俺知ってるよ。お母さんが読んでる本。お母さん嬉しい、とか、力があるねって言われても俺、学校には行かないから。そういうんじゃないから。」と長男に言われた時にも、落ち着いて微笑むことができました。学校タイムも、とりあえず机に向かって過ごし、体育の時間は縄跳びや階段昇降をし、音楽の時間は、私が課題曲を学校にもらいに行き、動画で聴きながら一緒に歌の練習をしました。そして、たくさんの話をしました。
コンプリメントトレーニングでは、自己決定させる項目に苦労し、リソースはたくさん見つかるけれど、言うタイミングを逃してばかりで、悪戦苦闘の毎日でした。
中学には保健室登校や別室の体勢がなかったのですが担任の先生と相談し、1日1時間、担任の空き時間に別室登校をするようになりました。トレーニングを始めて一月ほど経過した時でした。
同時期に長男が、座っている私の膝に頭を乗せてきたり手を握ったり、私の顔をじーっと見つめたりすることが増えてきて、「本に載っていた通り、育ち直しをし始めた!」と感じました。
別室では課題をこなしながら、担任以外の先生とも少しずつ話をしていたようです。話をするのも聞くのも上手な子で、先生とも話が弾んでいた様子でした。でも、1時間の登校も行ったり休んだり。別室に行っただけで、「学校に行ったからもっとゲームさせて〜」と要求してくることに若干の苛立ちを覚えるようになりました。これが、いわゆる「親の欲」という現象です。制服を着て出かける姿だけで涙ぐんでいた日からほんの数日で、親の欲はふつふつと湧き出てきました。
トレーニング60日を前に、森田先生の指導のもと全日登校できるまでゲームを全面禁止としました。本人は、「えーっ‼」と言いながらも、仕方ないなー、と少しずつ登校に前向きになり、「期末テストは教室で受ける」と言い出し、実際に教室に行けたのです。
トレーニングの資料や親の会で、何人もの方々から電子機器制限で大暴れしたお子さんの話を聞いていたのですが、うちの子は、それがなかったなぁと思っていた矢先、2日目のテストから帰ってきた長男は「何もかも制限しやがって!ゲームさせろ!!うゎー!!」と怒鳴り、二段ベットの梯子を振り回し威嚇して来たのです。穏やかで、優しい長男がそんな風に感情をむき出しにしてきたのと、暴れる場合は再登校する前に暴れるものだと思い込んでいたのとで、二重にびっくりしました。その時は距離を置いて見守ることにしました。落ち着いたら、おいしいものでも食べさせよう。そう思いながら。
息子は、しばらく怒鳴って大泣きして、テスト3日目と、それ以降はしばらく欠席しました。
長男は、幼い時からおりこうさんでした。
次男はよく迷子になるし、外食のレストラン選びでもこだわりが強く、入れる店が限られていましたが、長男はなんでも食べるし、迷子になった弟をさがしてくれました。長男の就学前、他の子が道端で泣き叫びながらお母さんに叱られたり、お店で奇声を上げ駄々をこねている様子を横目で見ながら、うちの子は駄々をこねないなぁ、大丈夫かなぁという漠然とした不安があったのですが、中1で、初めて息子は感情を大爆発させたのでした。
今考えると、あの梯子を振り回した日の出来事は、膨れ上がった傷口から膿が噴き出たようなイメージです。ずっと心の中で、何かと戦って膿がたまっていたのでしょう。「もうお母さんには感情をぶつけても大丈夫」と、長男の心の奥底で信頼が芽生えた瞬間でもあったように思います。
私の学生時代、カウンセリングの先生が「暴言を吐いたり怒鳴り散らしてくる相手の言葉は、『あんたを信頼したいんだよ!』と変換して受け止める」と教えてくれたことを思い出します。感情や本音が噴き出てくるのは「吐露(とろ)」と言い、ちゃんと吐露できたら一歩前進。カウンセラーがしっかり受容すると、クライエントは吐露でき、カタルシス(心の浄化)を得る…と。
この子は親の前で「お母さんを信頼したいんだ!」と大泣きして、吐露する力がある。そのリソースは、本人には伝えられなかったけれど、感情が噴き出したあの日…親子の距離が、ぐっと縮んだ気がします。
★珈琲タイム★
※現在中3・中1の2人の息子が、小6、小4の2月から順番に不登校となり、その年の5月から長男のコンプリメントトレーニング開始。
別室、五月雨を経て、長男は約半年、次男は約1年で、朝から登校。
上へ下へとおおきく波打ちながら、2人とも右肩上がりに成長中!
JUGEMテーマ:不登校
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